笹原駅前教室

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2015.05.01

こんにちは、教室長の木村です。

今日は、3月14日(土)~4月11日(土)に行われた将棋の「電王戦FINAL」について取り上げてみたいと思います。

電王戦とは、2012年に始まった棋戦で、プロ棋士とコンピューター将棋ソフトが駒落ちなしの平手で戦う真剣勝負です。

第1回電王戦は2012年1月に行われ、米長邦雄永世棋聖が「ボンクラーズ」に敗れました。

翌2013年からは5対5の団体戦になり、第2回電王戦はプロ棋士側の1勝3敗1持将棋(引き分け)、第3回電王戦もプロ棋士側の1勝4敗ということで、これまでいずれもプロ棋士側がコンピューター将棋ソフトに負け越していました。

そして迎えた今回の戦いが「電王戦FINAL」というわけですが、今回はプロ棋士側が3勝2敗で初めて勝ち越し、ようやくコンピューターソフトに対して人類の強さを見せつけた形になりました。

今回のプロ棋士側の3勝は、いずれもコンピューターソフトの欠点を浮かび上がらせるものでした。

まず、第1局の斎藤慎太郎五段vs「Apery」戦では、「Apery」側の王様に詰み筋が生じ、ほとんどどう指しても負けが明らかな場面(プロ棋士同士であれば、投了して負けを認めて対局を終わらせるような場面)から、「Apery」がどんどん持ち駒を打ち捨てて、いわゆる「王手ラッシュ」でただひたすら手数を長引かせる(負けを先延ばしにする)ということがありました。

次に、第2局の永瀬拓矢六段vs「Selene」戦では、永瀬六段の「△2七角不成」の王手を認識できず、「王手放置」の反則負けで「Selene」が敗れるということがありました。

そして、第5局の阿久津主税八段vs「AWAKE」戦では、先手の阿久津八段がわざと「2八」の地点に隙を作り、それにつられて後手の「AWAKE」が「△2八角」と打ってしまったため、数手後に後手が角を取られて不利になることが明らかになり、対局開始からわずか21手でコンピューターソフト側の投了という形になりました。

第5局の「△2八角」という指し手について考える場合には、「水平線効果」という用語を知っている方が分かりやすいと思います。

「水平線効果」とは、コンピューターがn手先まで全幅探索に近い読みを行うにもかかわらず、n+1手先以降に起こる事象をあたかも水平線の先のように考慮しないため、長期的に見て問題のある選択をしてしまうことをいいます。

今回の「△2八角」の手は、後手が次に必ず「△1九角成」と指して「馬」という強力な駒を作ることができ、その局面ではコンピューター側が有利になる(ように見える)のですが、そこからさらに何手か進んだ局面では、「馬」(「角」が成って強力になった駒)が先手に捕獲されてしまって、駒損したコンピューター側が一気に不利になってしまうというものでした。

第5局は、「水平線効果」というコンピューターソフト側の問題点が分かりやすい形で出た対局だったと思います。

というわけで、2015年の現時点では「いろいろな物事の決定をすべてコンピューターに委ねることには問題があり、そこに人間が係わった方がよい」という結論を導くことができる・・・と思うのですが、これからソフトの開発者がコンピューターソフトの弱点を一つ一つ克服していって、最強のコンピューターソフトができたら・・・と考えると、将来のことについては何とも言えません。

「今から30年後の2045年には、知識・知能の面で人工知能が人間を超越するようになる」という説もあり、本当にそんなことが起こるのかどうかは何とも言えませんが、そのような状況が近づいていくにつれて、人間の役割というのはだんだん変っていくのではないかということは想像されます。

「人間にしかできないこと」あるいは「人間だからできること」とは一体なんだろうと、いろいろ考えさせられた電王戦でした。