城南コベッツ横浜六浦教室

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横浜六浦教室のメッセージ

枕草子第299段「雪のいと高う降りたるを」~香炉峰の雪

2024.04.16

NHK大河ドラマ「光る君へ」
次週(4/21)放送では、古典の授業でおなじみの枕草子「香炉峰の雪」のシーンがあります。

【原文】
雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子(みかうし)まゐりて、
炭櫃(すびつ)に火おこして、物語などして集りさぶらふに、
「少納言よ、香炉峰(かうろほう)の雪いかならん」と仰(おほ)せらるれば、
御格子あげさせて、御簾(みす)を高くあげたれば、わらはせ給ふ。
人々も、「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそよらざりつれ。
なほ、此の宮の人には、さべきなめり。」といふ。

参考図書:枕草子(岩波文庫、池田亀鑑校訂)

【現代語訳】
雪がたいそう高く降り積もっているに、いつもとは違って、御格子をおろして
炭櫃(囲炉裏)に火をおこして、(女房達が)話などして
(中宮定子のそばに)集まってお仕えしていたところ、
「少納言よ、香炉峰の雪はどのようだろう。」とおっしゃるので、
(私が女房に)御格子を上げさせて、御簾を高く上げたところ、(中宮定子が)お笑いになる。
女房達も、「白居易の「香炉峰」の漢詩は知っており、歌などにまで歌うけれども、
(御簾をまき上げる動作でお答えするということは)思いつきませんでした。
やはり、この中宮定子様に(お仕えする人として)は、ふさわしい人であるようだ。」と言った。

【解説】
この面白さは清少納言が定子様のお考えを読み取り、機転を利かせて答えたことにあります。
中国の白居易(はくきょい)という人物が詠んだ漢詩の一節、
「遺愛寺の鐘は枕を欹(そばだ)てて聞く、香炉峰の雪は簾(すだれ)を撥(まきあ)げて看る」
一条天皇の妻中宮定子は、この漢詩の後半部分を前提として清少納言に問いかけたのです。
これに対して清少納言は、『香炉峰の雪は簾をかかげて看る』という白居易の漢詩を、
定子様の目の前に再現してみせたのです。

枕草子は没落していく中宮定子様との楽しかった想い出だけを切り取った少し切ない作品です。
枕草子に綴られた『雪のいと高う降りたるを』とは、清少納言の自慢話などではなく、
彼女が誠心誠意お仕えした中宮定子様との大切な想い出の一幕だったのです。

(2022.2.12のブログをリライトしました)