城南コベッツ横浜六浦教室

Tel:045-370-7986

  • 〒236-0031 神奈川県横浜市金沢区六浦1丁目12-21 ベラカーサ 2階A
  • 京急金沢八景駅 徒歩10分

受付時間:15:30~20:00/日祝休

  • 1対1個別指導
  • 1対2個別指導
  • ジュニア個別指導

横浜六浦教室のメッセージ

洒落小町~古典文学の教養と江戸の庶民生活

2026.03.21

「洒落小町」という古典落語を聴く機会がありました。
「洒落小町」は、古典文学の教養と江戸の庶民生活を巧みに組み合わせた作品です。
こんなお話しです。

あらすじ
「がちゃがちゃのお松」とあだ名される騒々しい女房がおりました。
亭主の留さんが近ごろ、穴っぱ入り(遊郭通い)して家に寄りつかないと、横丁のご隠居に相談に行きます。

ご隠居 「お前がうるさ過ぎて、家が面白くないので亭主が穴っぱ入りするんだ。
昔、在原業平が、河内の生駒姫の所に毎晩通ったが、妻の井筒姫は嫌な顔一つもしたことがない。
ある嵐の晩、さすがに業平が行くのをためらっていると、こういう晩にこそ行かなければ不実と思われるから、
無理をしても行ってくださいと言う。
あまりの物分りよさに業平は不審に思い、出掛けたふりをして庭に隠れて様子を伺うと、縁側の戸が開き、
井筒姫が琴を弾きながら、"風吹けば沖津白波たつ田山夜半にや君が一人越ゆらん"と悲しげに歌を詠んだ。
それに感じた業平は、河内通いを止めたという故事があった。
歌の力はたいしたもので、小野小町は歌で雨乞いして雨を降らせたという。
お前は亭主が帰ったら歌は無理でも、優しい言葉の一つも掛け、
洒落の一つも言ったら亭主はきっと外に出なくなる」と諭しました。

早速、お松は家に帰った留さんを駄洒落攻めにします。「うるさい」と怒鳴る留さんに、
お松 「うるさぎうさぎ、なに見てはねる十五夜お月様・・」なんて調子で追い打ちをかけます。

留さんは調子のおかしいお松なんかには付き合っていられないと外へ出て行ってしまいました。
お松さんはここぞとばかり、後ろから井筒姫の歌のつもりで間違えて、
お松 「恋しくばたずね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」と大声で叫んだが、
留さんは行ってしまいました。
話しが違うとご隠居の所へ乗り込んだお松に、
ご隠居 「そりゃ狐の歌だよ」
お松 「それでまた穴っぱ入りに出かけたんだ」

※狐の穴と遊郭通いの「穴っぱ入り」を掛けた秀逸な言葉遊びのさげとなっています。
井筒姫と在原業平の故事は『伊勢物語』を踏まえており、葛の葉狐の歌は『葛の葉』伝説から取られています。
「穴っぱ入り」は本来遊郭通いを意味する俗語ですが、狐が穴に入ることと掛けて使われています。
お松が間違えて詠んだ歌は、安倍晴明の母とされる葛の葉狐が子と別れる際の辞世の歌として有名で、
隠居の教養とお松の無教養の対比が笑いを生み、最後は言葉遊びで締めくくる構成が見事です。
タイトルの「洒落小町」は、小野小町の故事と洒落を言うようにという助言を組み合わせた洒落た命名です。

用語の解説
穴っぱ入りー遊郭通いを意味する俗語。この噺では狐が穴に入ることと掛けて使われています。
井筒姫ー『伊勢物語』に登場する在原業平の妻。幼馴染みとして有名で、賢妻として知られます。
葛の葉狐ー安倍晴明の母とされる伝説の狐。信太の森に住み、「恋しくば...」の辞世の歌で有名です。
小野小町ー平安時代の女流歌人で絶世の美女。雨乞いの歌で雨を降らせたという伝説があります。
在原業平ー平安時代の歌人で、色好みの貴公子として『伊勢物語』の主人公とされています。

「洒落小町」というタイトルの由来は、ご隠居が小野小町の故事を引き合いに出し、
お松に「洒落を言うように」と助言したことから、「洒落」と「小町」を組み合わせた命名になっています。
ご隠居が説く「優しい言葉と洒落で夫を引き留める」という助言は、現代にも通じる知恵かもしれません。
ただし、お松のように的外れな実行では逆効果になるという教訓も含まれています。