2025.05.09
さかんにニュースで報道されていますが、2025年5/7、バチカンにおいてコンクラーベが行われました。
133人もの枢機卿によるコンクラーベは3度決まらず、4度目で、アメリカ出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿が第267代ローマ教皇に選ばれ、レオ14世と名乗ることが発表されました。
さて、あまり聞きなじみのない単語ですよね。コンクラーベ。
コンクラーベとは、キリスト教、カトリック教会のトップである教皇を選ぶ選挙のことです。古代ローマで国教と認められて以来、ヨーロッパと言えばキリスト教が最も信仰されてきました。その後、東からヨーロッパへ大移動してきたゲルマン民族(我々が知るいわゆる白人の祖先ですね)が西欧にフランク王国を築き、国王カール大帝はローマ皇帝に戴冠させることで、ゲルマンもまた、キリスト教を信仰するようになります。
カール大帝をローマ皇帝に戴冠させたのも、時の教皇レオ3世です。これが西暦800年の話なので、1200年以上前のことです。翻ってレオ14世の即位はほんの昨日(2025/5/9現在)のことなのです。壮大な話ですよね。
初代教皇は、聖書によるとイエスの使徒ペテロです。ペテロはガリラヤ湖で、弟アンデレと共に漁師をしていたそうです。ちなみにガリラヤ湖とは、聖書にもよく登場する湖で、イエスがこの湖の上を歩いてみせたという逸話でも有名です。その漁師ペテロはイエスに声を掛けられたことで彼の最初の弟子となりました。
歴代教皇は、教皇である象徴として、漁師の彫ってある指輪が贈られるそうです。日本でいう天皇を象徴する三種の神器と同じく、この指輪の持ち主こそ正統なる教皇の証となるそうです。
閑話休題。古代より続いてきたローマカトリックですが、11世紀に、枢機卿の中から教皇が選出されることが決められたそうです。その時から、枢機卿団が教皇を選出する任務を担うようになりました。
その後1268年、クレメンス4世死去後には、枢機卿団による教皇選挙が紛糾し、3年もの間教皇の座が空位となってしまいます。これに怒った民衆が、選挙者たちを選挙会場から出られないように閉じ込めてしまったといいます。
コンクラーベとは、ラテン語で"鍵のかかった"という意味なのです。この時から、投票を行う枢機卿たちは新教皇の選出まで、システィーナ礼拝堂に閉じ込められていました。
この閉じ込めが廃止されたのは、21世紀になった2005年です。
さて、その時間がかかるコンクラーベは、どんな投票システムなのか。これが、13世紀から続くとは思えないような、厳正な秘密選挙で行われます。(秘密選挙は、日本国憲法、公職選挙法でも定められていて、現代日本でも採られている投票システムです)。
その秘密ぶりは徹底されていて、今回の選挙では、サンピエトロ広場を除くバチカン市国領内の携帯通信信号の送信システムを全て遮断して行われました。
コンクラーベの投票は所定の用紙に無記名で行われ、投票者自らが手書きで記入し、所定の容器に入れることになっているそうです。そして、投票後にその用紙の焼却が行われるのですが、その煙に特殊な薬品を混ぜて煙に色を付けます。こうして、新教皇の決定の合図とするのです。未決の場合には黒い煙、決定の場合には白い煙が、システィーナ礼拝堂から立ち上ります。これにより、外部は教皇が決まったかどうかを知るのです。
第一日目の午後、最初の投票が行われ、そこで2/3の得票数を得た者がいれば、その者が次の教皇となります。そこで決まらなければ、2日目の午前2回、午後2回の計4回投票が行われます。今回は、2日目の午後の1回目、4度目の投票で教皇が決まったわけです。
なお、もしそれでも決まらない場合、3日目はお休みで祈りと助祭枢機卿の長老(最年長)者のお話が入るようです。そのサイクルで7回投票してお休み、が繰り返されていくそうです。祈りとお話が入るところが教会らしいですよね。
最終的に25回投票しても決まらない場合、最後の投票で最多得票数を得た上位2名による決選投票になるそうです。
ちょうどアカデミーにノミネートされた「教皇選挙」が公開になったタイミングでの今回のコンクラーベ。選挙に参加した枢機卿の中にも、この映画を鑑賞していた方がいたそうです。日本でも未だ公開している映画館もあるようですので、一度観てみるのも面白いかもしれません。