東船橋教室のメッセージ
1冊の問題集を完璧にするほうが良い! 受験直前期は手をひろげないほうがいいでしょう。
2025.11.13

入試直前期の黄金律:手を広げない勇気
入試本番が間近に迫るこの直前期は、受験生にとって最も精神的にも、時間的にもプレッシャーのかかる時期です。
誰もが「まだ足りない」「もっとやれることがあるはず」という焦燥感に駆られがちですが、この時期に最も避けるべき行動、それは「新しいことに手を広げること」です。
直前期の学習の目的は、知識の量ではなく、合格するための得点力を最大限に高めることです。
この時期に新しい参考書や問題集に手を出したり、これまで触れてこなかった分野に深入りしたりすることは、一見、穴を埋めるための努力のように見えますが、実は非常に危険な行為です。
その最大の理由は、中途半端な知識の増加と既習範囲の定着度の低下を招くからです。
新しい問題に手を出すと、当然ながら解けない問題が出てきます。
それが生むのは、不要な不安と自信の喪失です。
入試は、知っている知識を正確に、かつ迅速にアウトプットする能力を問う場であり、直前期の受験生にとって「自信」は何よりも重要な武器となります。新しい分野に挑戦して苦手意識を深めることは、この大切な自信を自ら削り取ることになりかねません。
また、時間は有限です。新しい問題に費やした時間は、これまで積み重ねてきた既習範囲の復習と強化に充てるべき時間です。脳の記憶は、繰り返しの入力によって強固になります。入試で確実に点数になるのは、曖昧な新しい知識ではなく、何度も解き、理解し、体に染み込ませた鉄板の知識と解法パターンです。
「広さ」を追求する時期は、とっくに終わっています。直前期に求められるのは「深さ」です。具体的には、以下の三点に絞り込むべきです。
一つ目は、これまで使用してきた教材の徹底的な見直しです。
特に、過去問演習で何度も間違えた問題、マークをつけておいた苦手な単元、解説を読んでも完全に理解できていなかった概念などを、完璧に理解できるまで繰り返します。
二つ目は、志望校の過去問の分析と再演習です。
既に解いた過去問であっても、時間を計り、本番さながらの緊張感をもって再度解き直します。
その際、ただ正解を出すだけでなく、なぜその解法を選んだのか、時間配分は適切だったか、ミスはどこで発生したのかを詳細に分析し、本番での戦略を磨き上げます。
過去問は、志望校が受験生に求めている能力を教えてくれる最高の教材であり、これこそが「深める」べき対象です。
三つ目は、体調とメンタルヘルスの管理です。
直前期の学習効果は、体調と精神状態に大きく左右されます。十分な睡眠を取り、バランスの取れた食事を摂り、不安になりすぎないように適度な気分転換を心がけることも、最高の得点力を発揮するための重要な勉強の一部です。
合格する受験生は、直前期に「捨てる勇気」を持っています。
それは、まだやり残したかもしれないという未練や、新しい知識への誘惑を断ち切る勇気です。
残りの限られた時間は、自分の手の届く範囲、つまり「これまでやってきたこと」を「確実に点数に変える」ためにのみ使いましょう。
焦る気持ちを抑え、目の前にある、使い慣れた教材を信じて深掘りすること。
それが、直前期における最も合理的で、最も合格に近づくための黄金律なのです。
入試本番で「見たことのない問題だ」と焦るよりも、「これは知っている、解ける」という既視感と自信を持って臨むことの方が、圧倒的に高いパフォーマンスを引き出します。手は広げず、自分の持ち場を守り、既習範囲を磐石のものとしてください。
3冊の問題集があやふやな状態を残して終わるより、1冊の問題集を完璧にして受験会場に臨むほうが力を発揮できますし、自信につながります。
想像してみてください。
そのシチュエーションを想像していると、きっとわかると思います。






