夏休みの学習応援シリーズ⑮
高校1年生の数学Ⅰ、夏休みにどこまで戻る?
1学期のつまずきを見つける復習法
高校へ入学して数か月。中学校のころより授業の進みが速くなり、「数学が急に難しくなった」と感じている高校1年生もいるのではないでしょうか。
定期テストを振り返って、「授業ではわかったつもりだったのに問題になると解けない」「公式は覚えているのに使い方がわからない」ということもあります。
夏休みは、数学Ⅰを最初から全部やり直すのではなく、どこからわからなくなったのかを見つけて、必要なところまで戻るよい機会です。 今回は、1学期のつまずきを見つけるための復習方法をご紹介します。
高校数学は「わからなくなった少し前」に戻ることが大切です
数学は、前に学んだ内容を使いながら次の単元へ進むことが多い教科です。
そのため、今取り組んでいる問題が解けないときに、その問題だけを何度も練習しても、なかなか解決しない場合があります。
「どこまで戻るか」を考えてみましょう
今解けない問題の少し前にある基本問題や例題へ戻り、「ここまでは自分でできる」という場所を探します。 そこから順番に進め直すことで、つまずいたポイントを見つけやすくなります。
高校数学の復習では、難しい問題に長く取り組むことよりも、基礎のどこに抜けがあるかを確認することが大切です。
まずは1学期の定期テストを見返しましょう
夏休みの復習を始めるときに、新しい問題集を用意する必要はありません。
まずは1学期の定期テスト、学校の問題集、小テスト、授業プリントなどを見返してみましょう。
こんな問題に印をつけましょう
- まったく手が出なかった問題
- 途中まではできた問題
- 公式を忘れて解けなかった問題
- 計算途中で間違えた問題
- 答えは合っていたが解き方に自信がなかった問題
- 時間が足りず解けなかった問題
点数だけを見るのではなく、「どの段階で止まったのか」を確認することがポイントです。
間違いを「計算」「理解」「使い方」に分けてみましょう
数学の間違いには、いくつかの種類があります。
すべてを「数学が苦手」とまとめてしまうと、何を復習すればよいのかわかりにくくなります。
つまずきの分け方
- 計算のつまずき:符号、分数、展開、因数分解などで間違える
- 理解のつまずき:公式や考え方の意味がわからない
- 使い方のつまずき:公式は知っているが、どの問題で使うかわからない
- 読み取りのつまずき:問題文や条件を整理できない
- 確認不足:途中式を省略し、計算ミスに気づけない
原因が違えば、必要な復習方法も変わります。 まずは「何ができなかったのか」を具体的にしましょう。
数と式は、高校数学の計算の土台になります
学校の進度にもよりますが、高校1年生の1学期に「数と式」を学習している場合は、夏休みに基本計算を確認しておくことが大切です。
数と式で確認したいこと
- 式の展開
- 因数分解
- 実数の計算
- 平方根を含む計算
- 分母の有理化
- 不等式の計算
基本計算に不安があると、その後の二次関数やほかの単元でも、考え方は合っているのに最後の計算で間違えることがあります。
難しい応用問題へ進む前に、教科書の例題や学校の問題集の基本問題を、答えを見ずに解けるか確認してみましょう。
展開と因数分解は「逆の関係」を意識しましょう
展開と因数分解を別々の公式として覚えていると、式の形が少し変わっただけで迷うことがあります。
展開した式を元の形へ戻すのが因数分解、という関係を意識してみましょう。
復習するときの流れ
- 公式を確認する
- 教科書の基本例題を解く
- 展開した答えから元の式を考えてみる
- 因数分解した式をもう一度展開して確認する
- 数日後に同じ種類の問題を解く
因数分解の答えが正しいか不安なときは、もう一度展開して元の式になるか確認できます。
平方根は、計算のルールを一つずつ確認しましょう
平方根を含む計算では、数字だけの計算と違うルールがあるため、途中で混乱しやすいことがあります。
平方根で確認したいこと
- 平方根の意味を説明できるか
- 根号の中を簡単にできるか
- 同じ根号を含む項をまとめられるか
- かけ算・わり算ができるか
- 分母の有理化ができるか
途中の変形を省略すると、自分がどこで間違えたのかわからなくなりやすいため、一行ずつ書いて確認することがおすすめです。
不等式は「マイナスをかける・割る」ときに注意しましょう
不等式では、方程式と似た計算をする一方で、負の数をかけたり割ったりすると不等号の向きが変わります。
ここを忘れると、計算の途中までは合っていても答えが変わってしまいます。
不等式の問題で間違いが多い場合は、「どの行で負の数をかけたか」を確認しながら途中式を残してみましょう。
集合と命題は、用語をあいまいにしないことが大切です
学校によっては、1学期に集合や命題まで学習していることがあります。
この単元では計算だけでなく、用語や条件の関係を正しく理解することが必要です。
集合・命題で確認したいこと
- 集合を表す記号の意味
- 共通部分と和集合
- 補集合
- 命題の意味
- 必要条件・十分条件
- 反例を使って考えること
記号だけを暗記するよりも、具体的な数字や簡単な例を使って考えると整理しやすくなります。
二次関数へ進んでいる場合は、中学内容にも戻ってみましょう
学校の進度によっては、1学期から二次関数に入っている場合もあります。
二次関数でつまずいたときは、高校数学だけではなく、中学校で学んだ一次関数や座標、方程式に戻る必要があることもあります。
二次関数の前に確認したいこと
- 座標を正しく読み取れるか
- xとyの関係を式で表せるか
- グラフへ点を取れるか
- 一次関数の傾きや切片を理解しているか
- 方程式を正確に解けるか
- 式を変形できるか
高校の問題が難しいからといって、高校の教材だけを繰り返す必要はありません。 必要であれば中学校の内容まで戻ることも、理解をつなぎ直すための大切な復習です。
「公式を覚えた」だけで終わらせないようにしましょう
数学Ⅰでは公式や計算方法が増えていきます。
公式を見て答えられても、問題の中で使えなければ、テストではなかなか得点につながりません。
公式を確認するときの3つの段階
- 知っている:公式の形を覚えている
- 使える:基本問題で公式を使える
- 選べる:問題を見て、使う公式を判断できる
夏休みの復習では、「覚えているか」だけでなく、「どの問題で使うか判断できるか」まで確認してみましょう。
例題を読んでわかるのと、自分で解けるのは別です
教科書や参考書の例題を読むと、「これならわかる」と感じることがあります。
しかし、答えや途中式が見えない状態になると、最初の一行が書けないこともあります。
例題を使った復習方法
- 例題の解き方を読む
- わからない部分を確認する
- 一度本を閉じる
- 最初から自分で解く
- できなければ、止まったところを確認する
- 似た問題を一問解く
「解説を理解できる」から「自分で解ける」へ進むことが、復習では大切です。
途中式を残すと、苦手の場所が見えやすくなります
高校数学では計算が長くなり、途中式を省略したくなることがあります。
ただ、計算ミスが多いときほど、途中式を残すことが大切です。
途中式は「自分の考え方の記録」です
間違えたときに途中式が残っていれば、符号、展開、移項、計算など、どの段階でずれたのかを確認できます。 答えだけではなく、途中も見直す習慣をつけていきましょう。
復習は「基本→標準→確認」の順で進めましょう
テストの点数を上げたいと思うと、難しい問題に挑戦したくなることがあります。
しかし、基本問題で止まるところがある場合は、まず基礎を安定させることが大切です。
一つの単元を復習する流れ
- 教科書の基本事項を確認する
- 例題を自分で解く
- 学校問題集の基本問題を解く
- 間違えた問題を解き直す
- 標準問題へ進む
- 数日後にもう一度確認する
基本問題を安定して解けるようになってから標準問題へ進むと、解き方のつながりが見えやすくなります。
一日にたくさんの単元へ手を広げなくても大丈夫です
1学期の内容を見直すと、「ここもできない」「あそこも忘れている」と気になる部分が増えることがあります。
すべてを一度に復習しようとせず、優先順位を決めましょう。
1週間の復習例
- 1日目:定期テストを見直し、苦手を3つ以内に絞る
- 2日目:展開・因数分解の基本を確認する
- 3日目:平方根や不等式など、苦手な計算を確認する
- 4日目:学校問題集の間違えた問題を解き直す
- 5日目:次の苦手単元を基本から確認する
- 6日目:数日前に解いた問題をもう一度解く
- 7日目:まだ質問したい問題を整理する
学校の進度や苦手な単元によって、内容は調整してください。
「数学Ⅰ全部」ではなく、苦手を小さくしましょう
「数学Ⅰが苦手」と考えると、復習する範囲が広すぎて、どこから始めればよいかわからなくなります。
そこで、苦手をできるだけ小さな言葉に分けてみましょう。
苦手の言い換え例
「数学が苦手」ではなく、
「因数分解で公式を選べない」
「平方根の足し算で迷う」
「不等号の向きを変えるところを忘れる」
「問題文から式を作れない」
苦手が具体的になると、取り組む問題も選びやすくなります。
解けなかった問題には、理由を一言残しておきましょう
間違えた問題に赤で答えを書くだけでは、後から見たときに、なぜ間違えたのかわからなくなることがあります。
問題の横に残すメモの例
- 「公式忘れ」
- 「符号ミス」
- 「因数分解できず」
- 「問題文の意味がわからなかった」
- 「途中式を省略してミス」
- 「解説を読んでもわからない」
短いメモでも、次に復習するときの手がかりになります。
質問したい問題をため込まないようにしましょう
高校数学では、解説を読んでも「なぜこの式になるのかわからない」という問題が出てくることがあります。
わからない問題に長時間止まり続けず、質問できるように整理しておきましょう。
「この問題がわかりません」だけでなく、「公式まではわかるけれど、この変形からわからない」と伝えられると、必要な説明を受けやすくなります。
保護者の方は、点数だけで判断しなくても大丈夫です
高校へ入って最初の定期テストで、中学校のころより点数が下がり、心配になることもあると思います。
高校では学習内容や問題の難しさ、授業の進み方も変わります。 点数だけでなく、本人がどこで困っているのかを一緒に整理してみましょう。
こんな声かけがおすすめです
「どの単元から難しく感じた?」
「計算と文章問題では、どちらが困りやすい?」
「テストで惜しかった問題はあった?」
「一つだけ戻るなら、どこを確認したい?」
「全部やり直さないと」と考えるよりも、一つずつ理解をつなぎ直すことが大切です。
夏休みは、2学期へつながる土台を整える時間に
高校数学では、2学期以降も新しい単元が続いていきます。
1学期の内容に不安がある場合は、今のうちに「わからないままになっているところ」を見つけておくことが大切です。
すべてを完璧にする必要はありません。 まずは一つの苦手を見つけ、基本問題へ戻り、自分の力で解けるところまで確認していきましょう。
高校数学の「どこからわからない?」を一緒に整理します
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