2022.02.12
こんにちは。城南コベッツ反町教室・東前です。
久々に数学の話を書いてみようと思います。「3.141592653589793...」と永久に続く数、円周率の歴史についてです。
小学校では円周率は「3.14」と習います。計算問題の大敵ですね。計算が大変になる元凶です。中学になると、数式を文字で表す方法を学習し、その際に円周率は「π(パイ)」になって、計算の効率が劇的に改善されます。小学校でもπを使えばいいのにと思うのですが、そうすると、数式の勉強も必要になってきて、今の小学校の算数がカリキュラムがかなり駆け足になってしまいますね。仕方がないのかもしれません。
一時期、「円周率を3として扱っていい」という時代がありましたが、これはダメだと思います。円周率が「どこまでも続く数」であるから、円周率、ひいては数学に興味が持てるわけです。小学校で計算で扱う小数が小数第一位までになった影響があったかもしれませんが、元に戻ってよかったです。
円の面積の求め方は小学校6年で習いますね。「半径×半径×円周率」です。この式で円の面積が求められると証明した人がいます。アルキメデスです。紀元前3世紀ごろの話です。アルキメデスは円周率の計算にも取り組んでいて、正九十六角形などを使って、以下の範囲だと算出しました(「/」はわり算の意味です)。
3+10/71 < π < 3+1/7
これは小数にすると、「 3.14084 < π < 3.14286 」となります。「3.14159」はこの範囲の真ん中ぐらいですね。2000年以上前に、今の小学校で使えるぐらいの精度になっていたということです。
では、円周率を求めたのはアルキメデスが最初だったかというと、そうではありません。さらに、その2000年前ぐらいから、円周率は考えられていました。
以前、バビロニア数学について書きましたは、古代バビロニアでは円周率の近似値として、「3」や「3+1/7(小数にすると3.14286)」、「3+1/8(同3.125)」が使われていました。紀元前2000年ごろの話です。円周率の歴史では一番古いものになると思います。
その後、古代エジプトでも円積問題(円と同じ面積の正方形を描く問題)が研究されたりしています。紀元前1650年頃ですね。ここまでが、アルキメデス以前の歴史です。
では、アルキメデス後の歴史ですが、3世紀に魏の劉徽という人が3.14159という近似値を出しています。その後、5世紀に中国の天文学者の祖沖之が「3.1415926 < π < 3.1415927」であることを示しました。小数点以下を7桁まで求めたわけですね。
そして、その次の大きな進歩には、これから1000年以上がかかります。
1400年頃、インドのマーダヴァが円周率を11桁まで計算したと言われています。「言われています」というのは、他の学者たちの文献によってマーダヴァの発見と伝えられているからです。実際は17桁まで計算したという説もあるようですが、記録は残っていません。
また、1424年には ペルシャの天文学者・数学者ジャムシード・カーシャーニーが、16桁目まで正しく計算しました。この記録が破られたのは1596年で、ホラントル(現在のオランダ西部)の数学者のルドルフ・ファン・コーレンが20桁を示しました。
その後も数字は着実に伸びていきます。
1610年頃、ファン・コーレンが35桁。
1630年、オーストリアの天文学者・数学者クリストフ・グリーンベルガーが39桁。
1699年、イギリス人のエイブラハム・シャープが72桁。
1706年、イギリスのジョン・マチンが100桁。
1719年、フランスのトーマス・ラグニーが127桁。
1789年、スロベニアの数学者ユーリイ・ヴェガが137桁。
1852年、イギリスのラザフォードが441桁、弟子のシャンクスが527桁
1945年、アメリカのファーガソンが540桁
記録の更新ではないですが、日本の関孝和は1681年に16桁まで求めています。
そして、20世紀後半は桁数が飛躍的に伸びます。何があったかというと、電子計算機つまりコンピュータが出現しました。今までとは比べられないくらい速く、正確に計算をできるようになったのです。
1949年にはライトウィーズナーが2037桁を70時間かけて計算しました。使われたコンピュータはENIACです。ENIACはコンピュータの歴史を勉強すると必ずでてくる、黎明期の有名なコンピュータです。
その後、1958年には1万桁、1961年には10万桁、1973年には100万桁まで計算されました。
それからおよそ50年たった昨年の8月16日にはスイスのグラウビュンデン応用科学大学で62兆桁まで計算されました。計算にかかった時間は108日と9時間だそうです。もうここまでくると、人間では覚えられませんね。
円周率の暗記については、現在のギネス記録は2015年にインドの方が暗唱した7万桁です。ただ、日本人が2010年に10万桁を暗記したという記録が残っています。こちらのほうが長いのですが、ギネス記録としては公認されていません。何か条件があるようです。
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久々に数学の話を書いてみようと思います。「3.141592653589793...」と永久に続く数、円周率の歴史についてです。
小学校では円周率は「3.14」と習います。計算問題の大敵ですね。計算が大変になる元凶です。中学になると、数式を文字で表す方法を学習し、その際に円周率は「π(パイ)」になって、計算の効率が劇的に改善されます。小学校でもπを使えばいいのにと思うのですが、そうすると、数式の勉強も必要になってきて、今の小学校の算数がカリキュラムがかなり駆け足になってしまいますね。仕方がないのかもしれません。
一時期、「円周率を3として扱っていい」という時代がありましたが、これはダメだと思います。円周率が「どこまでも続く数」であるから、円周率、ひいては数学に興味が持てるわけです。小学校で計算で扱う小数が小数第一位までになった影響があったかもしれませんが、元に戻ってよかったです。
円の面積の求め方は小学校6年で習いますね。「半径×半径×円周率」です。この式で円の面積が求められると証明した人がいます。アルキメデスです。紀元前3世紀ごろの話です。アルキメデスは円周率の計算にも取り組んでいて、正九十六角形などを使って、以下の範囲だと算出しました(「/」はわり算の意味です)。
3+10/71 < π < 3+1/7
これは小数にすると、「 3.14084 < π < 3.14286 」となります。「3.14159」はこの範囲の真ん中ぐらいですね。2000年以上前に、今の小学校で使えるぐらいの精度になっていたということです。
では、円周率を求めたのはアルキメデスが最初だったかというと、そうではありません。さらに、その2000年前ぐらいから、円周率は考えられていました。
以前、バビロニア数学について書きましたは、古代バビロニアでは円周率の近似値として、「3」や「3+1/7(小数にすると3.14286)」、「3+1/8(同3.125)」が使われていました。紀元前2000年ごろの話です。円周率の歴史では一番古いものになると思います。
その後、古代エジプトでも円積問題(円と同じ面積の正方形を描く問題)が研究されたりしています。紀元前1650年頃ですね。ここまでが、アルキメデス以前の歴史です。
では、アルキメデス後の歴史ですが、3世紀に魏の劉徽という人が3.14159という近似値を出しています。その後、5世紀に中国の天文学者の祖沖之が「3.1415926 < π < 3.1415927」であることを示しました。小数点以下を7桁まで求めたわけですね。
そして、その次の大きな進歩には、これから1000年以上がかかります。
1400年頃、インドのマーダヴァが円周率を11桁まで計算したと言われています。「言われています」というのは、他の学者たちの文献によってマーダヴァの発見と伝えられているからです。実際は17桁まで計算したという説もあるようですが、記録は残っていません。
また、1424年には ペルシャの天文学者・数学者ジャムシード・カーシャーニーが、16桁目まで正しく計算しました。この記録が破られたのは1596年で、ホラントル(現在のオランダ西部)の数学者のルドルフ・ファン・コーレンが20桁を示しました。
その後も数字は着実に伸びていきます。
1610年頃、ファン・コーレンが35桁。
1630年、オーストリアの天文学者・数学者クリストフ・グリーンベルガーが39桁。
1699年、イギリス人のエイブラハム・シャープが72桁。
1706年、イギリスのジョン・マチンが100桁。
1719年、フランスのトーマス・ラグニーが127桁。
1789年、スロベニアの数学者ユーリイ・ヴェガが137桁。
1852年、イギリスのラザフォードが441桁、弟子のシャンクスが527桁
1945年、アメリカのファーガソンが540桁
記録の更新ではないですが、日本の関孝和は1681年に16桁まで求めています。
そして、20世紀後半は桁数が飛躍的に伸びます。何があったかというと、電子計算機つまりコンピュータが出現しました。今までとは比べられないくらい速く、正確に計算をできるようになったのです。
1949年にはライトウィーズナーが2037桁を70時間かけて計算しました。使われたコンピュータはENIACです。ENIACはコンピュータの歴史を勉強すると必ずでてくる、黎明期の有名なコンピュータです。
その後、1958年には1万桁、1961年には10万桁、1973年には100万桁まで計算されました。
それからおよそ50年たった昨年の8月16日にはスイスのグラウビュンデン応用科学大学で62兆桁まで計算されました。計算にかかった時間は108日と9時間だそうです。もうここまでくると、人間では覚えられませんね。
円周率の暗記については、現在のギネス記録は2015年にインドの方が暗唱した7万桁です。ただ、日本人が2010年に10万桁を暗記したという記録が残っています。こちらのほうが長いのですが、ギネス記録としては公認されていません。何か条件があるようです。
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