2024.10.28
文部科学省の令和4年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果によると、小中学校で約29万9千人、全児童生徒の3.2%(中学生では6.0%)と過去最高であり、過去5年間の傾向として、小学校・中学校ともに不登校の児童生徒数及びその割合は年々増加しています。
出典:令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
さらに、不登校の主な要因の約半数が「無気力、不安」となっていますが、その状態に至るまでの経緯や要因は明らかではなく、実態が十分につかめていないと報告されています。
そこで、一部地域【吹田市(大阪府)、府中市(広島県)、延岡市(宮崎県)、山梨県】の、教師・児童生徒・保護者のそれぞれの目線から、不登校の要因に関する調査結果がまとめられています。
対象者は、令和4年度問題行動等調査において不登校として報告された児童生徒で、教師回答は1,424名、うち児童生徒回答は239名、保護者回答は200名となっています。
教師には、「以下のような事柄が事実としてあったか」を質問しており、不登校の児童生徒には「あなたが最初に学校に行きづらい、休みたいと感じ始めたとき、学校や家で、次のようなときに、つらいと感じたことはありましたか。」と質問しています。
また、保護者には「お子さんが一番最初に学校を休むようになった(休みがちになった)きっかけは、何だと考えますか。」と質問しています。
出典:不登校の要因分析に関する調査研究報告書
児童生徒と保護者の回答は、非常によく似た形の分布ですが、教師の回答は少し異なっていることがわかります。
教師の回答が、「いじめ被害」や「教職員への反抗・反発」「教職員とのトラブル・叱責等」の項目が低い数値だったのに対し、児童生徒と保護者の回答は、比較的高い数値となっています。
文部科学省の調査では、「不登校児童生徒」とは 「何らかの 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。
出典:不登校の現状に関する認識
また、「不登校への支援」という側面からは、下記のような考え方が示されています。
② 不登校は、解決すべき課題ではあるものの、「問題行動」と判断するべきではなく、不登校の児童生徒とその家族も苦しんでいることを理解する必要がある。
③ 不登校支援は、第一に「学校に行く」ことを目的とするのではなく、児童生徒に共感的な理解と受容の姿勢を持つことが必要である。
出典:文部科学省_不登校児童生徒への支援に関する最終報告
不登校児童生徒数は30年以上にわたり増加傾向で、令和2・3・4年度中学校の不登校が急増(約13万人 ⇒ 約16万人 ⇒ 約19万人)しています。
また、不登校割合としては、小学校で約60人に1人、中学校で約17人に1人が不登校となっています。直近3年間でも、中学校の不登校割合は約4% ⇒ 約5% ⇒ 約6%と推移しています。
中学校では不登校が1クラスに約2人いるという現状からも、「登校ありき」ではなく「不登校であっても適切な教育を受けられる機会」が求められます。
文部科学省では、不登校の児童生徒に対して、ICTを活用した自宅学習で「出席扱い」にするという方針を打ち出しています。
当塾のICT教材「デキタス」は、下記7つの要件を満たすことのできる教材です。
参考:【保護者必見】不登校児童生徒の出席認定:理解とサポートのためのガイド
2022年度では、自宅や学校外の機関等でICT等を活用した学習活動を指導要録上「出席扱い」とした児童生徒数は、約4万人となっています。
出典:令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
さらに、文部科学省は2024年8月29日、「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について」と題した通知を全国の教育委員会などに発出しました。同日に公布・施行した法令改正により、義務教育段階の不登校児童生徒が学校外で学習した成果を成績評価に反映できると規定しており、周知を求めています。
出典:不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果の成績評価に係る法令改正について
不登校に対する支援制度は、拡充されてきています。まずは、学校の担任と連携して、「出席扱い」とするための条件を取り決めることから始めます。
高校受験にチャレンジするために、学校側に積極的にアプローチして、行動していくことが必要です。