2025.05.10
英単語の暗記に苦労する人は多いですが、高校生になると、単語暗記の量が一気に増えるため、余計に覚えられないということが増えてきます。
よく言われることとして、文の中で使って覚えた方がよいというのがありますが、受験生になってくると長文問題を扱う機会が多いのでだんだん覚えるということもありますが、学年が低いうちは文法学習の方が多くなるため、なかなか文の中で出会わないということも少なくありません。
ですが、その言葉が実は身近で使われている単語であることがわかると、記憶として残りやすいということはあると思います。
有名なものは、retrieveですが、これは「取り戻す・回収する」という意味があります。自分自身も単に機械的に覚えていた時は気づいていませんでしたが、これが、犬の「ゴールデンレトリーバー」に由来している、ということを知ってからは、もう忘れない単語となりました。
もともとゴールデンレトリーバーは、狩猟犬として改良されたもので、猟師が撃ち落とした獲物を「回収する」ところから来ています。
ですので、自分の覚えた単語がどのような場面で使われているかを知ることは語学学習ではやはり大切なのです。
そこで今回はこういったものをいくつか挙げていきます。無機質に覚えていた単語が一転、自分の使える単語やなじみのある単語になるのを楽しんでもらえればと思います。
・conceal 「隠す」
コンシーラーという化粧品がありますが、これは「concealer」。まさに隠すものなわけです。これは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
・peel 「皮をむく」
台所にピーラーがある家は多いでしょう。「peeler」、皮をむくものですね。これも有名ですね。
・aesthetic「美的な」
英単語の暗記をする際に、音を伴わないで覚える人がどうしても多いのですが、この単語はそれがもったいないと思わせるものの代表格です。読み方をカタカナで書くなら「エステティック」。そう、あの「エステ」です。ローマ字読みをしようとして「アエステティック」のように読んではいけません。また、この単語の綴りが「ae」から始まっていますが、これは綴りを間違えたわけではありません。現代の英単語には少ない綴り方ですが、これはaeが背中合わせにくっついている文字(ラテン文字のひとつ)を使っていたことに由来します。この由来を覚えておくと、綴りも間違えにくいでしょう。
次に、数学でも単語帳に見られる英語がありますので、一部ご紹介します。
・Union「統合、結合」 → 数学では和集合の記号「∪」の由来
この単語の動詞形は「unite」で、アメリカ合衆国の正式名称「the United States of America」から覚えている人は少なくないと思います。
この「Union」は「または」の記号である「∪」の由来になっています。「カップ」と読むことの多いこの記号ですが、これは見た目からそう読まれています。
なお、この記号を学習する際は「∩」も学習しますが、「∪」は「または」で「∩」が「かつ」です。高1でこれを学習する際、始めはどちらがどっちかなどと迷ってしまうことがありますが、「Union」の意味と合わせて覚える良いかもしれません。ちなみに、積集合(かつ)は「Intersection」ですが、「∩」の記号は「∪」との対比で使われるようなったとのことです。
・complement 「補うもの、補完物」 → 数学では「補集合」
数学の「補集合」というと集合Aに対してAではないものという意味になりますが、このときの補集合のことを英語ではcomplementといい、高校ではAの上に線を引く記号となりますが、大学数学などではAの右上に小さくCと書くこともあります。このCがcomplement のCです。
実は英語には「complement 」「compliment」という受験生を悩ませる有名な似た単語があます。前者は「補完物」後者は「ほめる(動詞)、ほめ言葉(名詞)」となっています。eとiが違うだけなので、非常に覚えにくいもので、補集合の話を知っているからと言って、この区別ができるというものではないのですが、少なくとも補集合の話の時に、この2単語が頭に浮かべば、少し覚えやすくなるのではないでしょうか。
なお、英語の5文型で学習する「C」という記号、これは「補語」を表しますが、もちろんこの「Complement」です。数学の補集合と英語の「補語」、こんなところで実はつながっていました。
ちなみに、complementは語源的に「complete」(完成する)から来ているそうです。「補う」「完成する」、日本語で考えても関連しそうです。ここからcomplementはeの方だ、と理解するのがよいかもしれません。
次はニュースの英語から。
・tariff 「関税」
英語のニュースを聞くと、聞かない日はないのではないかというくらい、最近(2025年5月現在)はよく聞く言葉になりました。中学生、高校生が英語でニュースを聞くとなると大変かもしれませんが、アメリカの政策の影響ですので、英語のニュースでは連日登場しています。日々のニュースも大切な知識の源です。
なお、「相互関税」は「reciprocal tariff」といいますが、おかげで「reciprocal」(相互の)という単語が自分には完全に忘れない単語になりました。この単語は英検1級などで登場します。
・Pope「ローマ教皇」
こちらもこの記事を書いているときに、新ローマ教皇のニュースが多く扱われていたのでご紹介してみました。入試で使われる単語ではないので、知らない人も多いかもしれませんが、教養として知っていてもよいと思います。
・unanimous「全員一致の」
これは少し前ですが、2024年のメジャーリーグのMVPは、ナショナルリーグ、アメリカンリーグともに満場一致でMVPがきまりましたが、その時に使われていたのがこの単語です。インターネットのある動画のサムネイルに大きく「UNANIMOUS」と出ていたのが印象的でした。
この単語は少し難しい単語で、英検準1級用の単語帳に掲載されています。
英単語学習はどうしてもたくさんを覚える必要があるので、一つ一つを掘り下げることは、高校生などでは少ないと思いますが、気になった言葉などがあれば、どこで使われているかやその背景にあるものを知ることで、忘れにくい単語、自分で使える単語となります。将来的に英語自体を使えるようにする、という点ではこうしたことをしながら、楽しんで覚えてみてもらえればと思います。