知能は、「頭のよしあし」「聡明さ」を表す言葉としてよく使われますが、
その意味をきちんと説明するのは難しいでしょう。
一般的には、次のようなものが知能であると考えられています。
①経験から学習し、それを活かす能力
②抽象的に思考・推論する能力
③不確実な状況に適応する能力
④迅速に成し遂げるよう動機づける能力
このうち、主に教科学習(勉強)における能力としては、
①と②でしょう。
①の「経験」は、教科学習においては
過去に見た「問題・解法」や「暗記事項」などが該当します。
そして、②は「抽象力」「思考力」「推論力」といった力のことで、
国語の「読解」もこちらに該当します。
これらのことから、自ら考え(思考力)、活かす力は
知能に少なからず影響すると言えそうです。
子どものうちから、「思考力」を高められるよう訓練しておきましょう。
心理学者の河合 俊雄氏の執筆された記事の中で、興味深い話がありました。
現代において「発達障害」の当事者が増加しているのは、
「発達障害そのものが知られるようになった」だけではなく、
「社会のあり方が変化して、主体性をもって行動できないと生きづらくなった」
ことも影響があるのではないか、といったお話でした。
発達障害の中でも、自閉症スペクトラムやADHDといった症状をもった方は、
なかなか主体性をもって行動するのが難しい場面もあり、
生きづらさを感じやすいことから医院の受診が増えているのではないか、
ということです。
確かに現代は、情報社会のさらに先を行く「society 5.0」とも呼ばれる時代であり、
世界中のどんな情報にでもアクセスできる反面、
自ら主体的に情報の取捨選択ができないと、
社会で生き抜くのが困難な時代に向かっていると言えるような気がします。
これは発達障害の当事者に限ったことではなく、
主体的に物事を考え、行動する力を子ども時代に育まない事には、
大人になった際に生きづらさを感じる...そんな世の中になろうとしています。
主体性を育むにあたっては、「やればできる」という成功体験が
非常に重要な要素を持つと言われています。
スポーツでも学習でも、何か1つ成功体験を獲得できるようにして
あげたいですね。
城南コベッツでは、学習における成功体験に繋がるお手伝いをしております。
現状のお悩みなど、是非お聞かせください。
前回までで、数学が苦手なお子さんによくある、
「計算ミスが多い」事に対する対応策をお話していきました。
今回は、こちらもよくお伺いする、
「基本問題は解けるが、応用問題となると解けない」事柄についてお話します。
こちらは、一般論が実は申し上げにくいのが実際の所です。
なぜならば、「基本問題」がどの程度の問題をさすのかが、
その人によって異なるからなんですね。
なので、ここでは教科書における「基本の問題」レベルが
基本問題であると捉えて、話をしていきます。
さて、こういった基本問題は解けるが応用問題が解けない...といった場合、
すべてがそうではないですが、「本質的な理解」が欠けている場合があります。
例えば、中3で学習する「√(ルート)」の計算で、次のようなものがあります。
4√2-√2=3√2
ところが、これを
4√2-√2=3
としてしまうお子さんがいらっしゃいます。
このような計算をしてしまう理由としては、
「4√2」がどのような数なのかがわかっていない可能性が考えられます。
「4√2」とは、「4×√2」の「×」を省略したものです。
つまり、「√2の4倍」なんですね。「√2の4倍」から「√2」をひくから、
答えは「√2の3倍」、すなわち「3√2」になるわけです。
方程式における「3x」などの文字式と考え方は同じです。
この理屈がわかっていれば、複雑な√を含む計算も、
方程式と同じ感覚で戸惑う事なく解けるようになります。
逆に、上の例を形だけで何とか通過したお子さんですと、
複雑化した問題(応用問題)は手が止まってしまうのではないでしょうか。
短期的に点数をとらせるのであれば「解法の丸暗記」も悪くない手ですし、
1回1回のテスト対策としてはそれでも良いでしょう。
ただし、本質的な理解ができていない状態では、「応用問題」は解けませんし、
高校数学はより理解が厳しくなっていくと予想されます。
本質的な理解をさせる、これは実はとても大事な事です。
「応用問題」が解けないお子さんには、
是非この点を確認してあげると良いと思います。
前回の記事の続きです。
計算ミスが多いお子さんが総じて見直しの時間が確保できていない事、
そして見直しの時間が足りずに困っている場合もある事をお話しました。
では、見直しの時間が足りない場合、どのように対応すべきなのでしょうか。
見直しの時間が足りない場合、「1つの問題に時間を使い過ぎている」
場合が大半です。これは、計算のスピードが遅いといった場合もありますが、
「わからない問題で延々と考えてしまい、時間を浪費している」場合もあります。
計算のスピードが遅い場合は、演習をこなして少しでもスピードを上げる事が
求められます。解法を思い出すのに時間がかかる場合も同様です。
問題は、「わからない問題で時間を浪費している」場合です。
この場合は、「問題を考える時間を予め設定しておく」作戦が有効です。
例えば、1問に対して考える時間は「長くても2分まで」と決めておきます。
そして、時間が来たら、大人しく諦めます。試験は総合点での勝負です。
わからない問題で時間を浪費してしまい、落ち着いて計算すれば解けたはずの
問題で計算ミスをしてしまっては本末転倒です。
なので、必ず「時間を区切る」事を意識しておきましょう。
もう1つ、「見直しを始める時間」を決めておくのも有効です。
「残り10分は見直しの時間!」などと決めておき、
1問でも多く確実に得点する事を目指すようにすると、
実力が同じだったとしても、点数に差がつくようになります。
この考えは、受験でも有効です。
是非取り入れてみてください。
次回は、応用問題が解けない場合についてお話します。
数学が苦手なお子さん、非常に多いですよね。
なぜ数学が苦手なのかを聞いていくと、
「わかっていても計算ミスで点数がとれな(くて嫌になった)」
「基本問題は解けても応用問題で解けなくなる」
といった声が、比較的多いような気がします。
そして、これらが無自覚的で「何となく数学が苦手(嫌い)」になっている
お子さんも非常に多いように見受けられます。
では、これらの苦手の原因は、どのように解消すべきなのでしょうか?
まず、計算ミスについてですが、
多くは「テスト時間内の見直しをしない(できない)」事に由来します。
テスト時間に余裕があり、見直しをしていないだけであれば、
検算をしっかりと行い、計算ミスを防ぐだけで飛躍的に点数があがります。
何度やっても計算ミスが改まらない場合は、計算の練度が低いので、
計算が中心の問題集で特訓させるべきでしょう。
問題は、見直しの時間がとれない場合です。
そもそも問題を解き切るのが精いっぱい、何なら問題をすべて解く前に
試験時間が終わってしまう...そういったケースも多いと思います。
では、こちらについてはどう対応すべきなのでしょうか。
次回に続きます。