城南コベッツ赤羽南教室

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赤羽南教室のメッセージ

【RINGOJUKUWORKS#34】「知らなかった」のではない。「知ろうとしなかった」のだ。 ――『トッケビ』のベンチで交わされた、忘れられない会話。

2026.10.19

RINGOJUKU WORKS|大人がする質問を、待っています。第1回



私は韓国ドラマ『トッケビ』が好きです。

これまでに3回、最終回まで見ています。

物語も素晴らしいのですが、登場する俳優さんたちが本当に個性豊かで、何度見ても楽しめる作品です。

そして、面白いことに、見るたびに心に響く場面が違います。

今日は、その中でも特に印象に残っている場面について書いてみたいと思います。

主人公たちの劇的な恋愛の場面ではありません。

御曹司のドクファと、彼を長く支えてきたキム秘書。

二人がベンチで交わした、何気ない会話です。

私はこの場面がとても好きで、以前、テレビの画面をそのままスマホで撮影して保存していました。

ベンチでの会話

ユドクファとキム秘書.pngある日、ドクファはキム秘書に妻と3人の子どもがいることを知ります。

長い付き合いなのに、初めて聞く話でした。

驚いたドクファは、どうして今まで教えてくれなかったのかと尋ねます。

キム秘書は、聞かれなかったからだと答えます。

そして、ドクファがまだ周囲の人に十分な関心を持っていないことを、静かに指摘します。

キム秘書は、ドクファからの質問を待っていました。

ただ、仕事のやり方や、自分に必要なことを尋ねる質問ではありません。

周囲の人々が何を喜び、何を悲しんでいるのか。

世の中で何が起きているのか。

そうしたことに関心を持つようになったとき、自然に生まれてくる質問です。

キム秘書は、それを「大人がする質問」と表現します。

そして、ドクファは最後に言います。

「ありがとう」

私は、この短い会話が忘れられません。

なぜ、こんなに心に残るのだろう

キム秘書は、ドクファを叱っているわけではありません。

説教をしているわけでもありません。

自分の家族について知らなかったことを、責めているわけでもありません。

ただ、ずっと待っていたのです。

ドクファが、自分の周囲にいる人たちに関心を持つようになることを。

そして、いつか自分から質問してくれることを。

私は、この「待っている」という言葉に、とても大きな意味を感じます。

相手が成長する可能性を信じていなければ、なかなか言えない言葉だと思うからです。

同時に、キム秘書の言葉は、決して優しいだけのものではありません。

むしろ、かなり厳しい。

長い間そばにいた人のことを、あなたはどれだけ知ろうとしてきたのか。

自分以外の人間が、何を考え、何を感じて生きているのか。

そんなことを、静かに問いかけているように感じます。

大人になるということ

私たちは、年齢を重ねれば大人になると思っています。

学校を卒業し、仕事に就き、社会人になる。

やがて部下ができたり、家庭を持ったりする。

でも、それだけで本当に大人になったと言えるのでしょうか。

知識が豊富な人。

仕事ができる人。

社会的に成功した人。

そうした人たちが、必ずしも周囲の人々の喜びや悲しみに関心を持っているとは限りません。

逆に、まだ若くても、周囲の人をよく見て、その人の気持ちを理解しようとする人もいます。

私は、キム秘書の言葉を聞いて、そんなことを考えました。

大人になるということは、自分以外の人間の人生にも関心を持てるようになることなのかもしれません。

もちろん、それだけが大人の条件ではないでしょう。

でも、とても大切なことのように思います。

「質問を待っています」

私は約30年間、教育の仕事をしてきました。

これまでに、本当に多くの生徒や大学生講師、社員と関わってきました。

その中で、最近、考えることがあります。

以前に比べて、自分から質問する人が少なくなってきたように感じるのです。

もちろん、質問しないことには、さまざまな理由があります。

でも、あのベンチでの会話を見てから、私は時々考えるようになりました。

質問が出てこないのは、知らないからなのだろうか。

それとも、知ろうとしていないからなのだろうか。

この二つは、似ているようで、まったく違うことなのかもしれません。

そして、この問いは若い人たちだけに向けられるものではありません。

私自身は、どうなのだろう。

長く一緒に仕事をしている社員のことを、どれだけ知っているだろう。

毎週教室に来る子どもたちのことを、どれだけ理解しようとしているだろう。

周囲の人々の喜びや悲しみに、どれだけ関心を持っているだろう。

そう考えると、簡単には答えが出ません。

韓国ドラマの、ほんの数分の会話。

それなのに、こんなにも多くのことを考えさせられる。

だから私は、『トッケビ』という作品が好きなのだと思います。

そして、最後にドクファが口にした、

「ありがとう」

この一言も、とても好きです。

自分が知らなかったことを教えてもらったからではなく、

自分がこれまで気づいていなかったことに、気づかせてもらった。

そんな感謝の言葉のように、私には聞こえました。

皆さんは、どうでしょうか。

長い間、身近にいる人。

いつも自分を支えてくれている人。

その人が何を喜び、何を悲しんでいるのか。

どれほど知っているでしょうか。

そして、その人に最後に質問したのは、いつだったでしょうか。

私も、もう少し考えてみたいと思います。

「大人がする質問を、待っています。」


次回:「質問しない若者」が増えたのは、なぜなのか。

※韓国ドラマ『トッケビ』の場面をもとに、会話の趣旨を再構成して紹介しています。

空のベンチ、最後の問い.png


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