2025.06.17
おはようございます!
2025年6月17日(火)
城南コベッツ東船橋教室より、本日も宜しくお願いします!
今日は35度ぐらいまで気温が上昇するみたいですね。水分を多めに摂って熱中症予防をしていきましょう!お父様、お母様もお仕事お疲れ様です。
講師からも7月・8月の予定表が集まってきましたので、今日から本格的に夏期講習期間の予定を作っていきます。
本日のテーマは
『共通テスト5年の衝撃!:中学・高校受験への波及と新時代の学力観』でお送りします。
2021年に導入された大学入学共通テストは、今年で5年目を迎えました。本ブログでも何度か取り上げましたが、やはりけっこう衝撃的な内容であったことは否めません。
わずか5年間で、日本の教育地図は劇的に変化したと言っても過言ではありません。
従来の大学入試センター試験とは一線を画すその出題傾向は、単に大学受験のあり方を変えただけでなく、中学受験、高校受験、ひいては初等中等教育全体の方向性にも大きな影響を与えていると言えます。
ここでは、共通テストがもたらした変化を「衝撃」と捉え、それが下位の受験段階にどのように波及しているのか、そしてこれからの時代に求められる学力とは何かについて考察します。
共通テストが突きつけた「思考力・判断力・表現力」の重視
センター試験は、どちらかというと知識の正確なインプットと迅速なアウトプットを重視していました。
対して共通テストは明確に「思考力・判断力・表現力」を問いかけるものへとシフトしました。
これはいつも当方が申し上げている「学習指導要領」に中核を担うものです。
国語における複数の文章を比較検討させる問題、数学における日常生活に即したデータ分析問題、英語における長文読解と情報整理能力を問う問題など、その出題形式は多岐にわたります。
これは、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)を始めとする国際的な学力調査が示す「知識の詰め込み」ではない、生きた知識を活用する能力の必要性と、
Society 5.0時代に求められる資質・能力を意識したものです。
単に知識があるだけでなく、その知識を使って未知の問題を解決したり、多様な情報を統合して自分の意見を形成したりする力が問われるようになったのです。
この変化は、受験生にとって「暗記すれば良い」というこれまでの学習法では通用しないことを意味しました。表面的な知識だけでなく、その背景にある原理原則を理解し、応用する力が不可欠となったのです。
中学受験への波及:脱・知識偏重と記述・思考問題の増加
共通テストの導入は、真っ先に大学付属校の中学受験に影響を与え始めました。
大学入試の変化に対応するため、付属校は当然ながら、早期から共通テスト型の思考力・判断力を問う問題を取り入れる傾向が顕著になりました。
しかし、その影響は付属校にとどまりません。
御三家を始めとする伝統的な難関中学でも、単なる知識量を問う問題よりも、読解力、分析力、記述力を求める問題が増加しています。
例えば、社会科では年号や用語の暗記だけでなく、複数の資料を読み解き、自分の言葉で説明させる問題が増え、理科では実験結果から考察を導き出す問題が重視されるようになりました。国語では、物語文や説明文の読解に加え、筆者の意図を深く読み取り、要約したり、自分の意見を記述させたりする問題が一般的になりつつあります。
これは、中学受験においても「丸暗記で対応できる問題」の割合が減少し、「その場で考え、表現する力」が求められるようになったことを意味します。これまで以上に、幼少期からの多角的な読書経験や、日常生活における論理的思考の訓練が重要視されるようになっています。
高校受験への波及:総合的な学力と表現力の重視
高校受験においても、共通テストの導入は大きな影響を与えています。
特に、難関公立高校の入試問題や、私立高校の推薦入試、総合型選抜では、思考力・判断力・表現力を重視する傾向が顕著です。
例えば、公立高校の入試では、社会科で地理や歴史、公民を横断的に理解し、資料を読み解いて論述させる問題や、理科で実験のデザインを考えさせたり、結果を考察させたりする問題が増えています。英語では、長文読解とリスニングの比重が増し、自分の意見を英語で表現させるライティング問題も導入され始めています。
また、私立高校の総合型選抜では、プレゼンテーションやグループディスカッション、小論文などが課されるケースも増えており、単なる学力だけでなく、コミュニケーション能力や協調性、主体性といった多面的な資質が評価されるようになっています。これは、共通テストが目指す「多角的な評価」の考え方が、高校入試にも浸透してきたことを示しています。
新時代の学力観:学びの本質への回帰
共通テストの導入から5年が経過し、私たちは「新時代の学力観」と向き合うことになりました。それは、単に「知っている」ことではなく、「使える」知識・技能、そして「考える」力こそが真の学力であるという認識です。
この変化は、教育現場においても大きなパラダイムシフトを促しています。授業は、教師が一方的に知識を授けるものから、生徒が自ら問いを立て、探究し、協働的に学ぶものへと変貌しつつあります。アクティブラーニングや探究学習が導入され、生徒一人ひとりが主体的に学びに向かう姿勢が重視されるようになりました。
また、保護者や受験生にとっても、この変化は「受験勉強」のあり方を見直すきっかけとなっています。早期からの詰め込み学習や、特定の科目に特化した学習だけでなく、幅広い分野への興味関心を育み、多様な経験を通じて思考力を養うことの重要性が再認識されています。
まとめ:未来を生き抜く力を育むために
共通テストが実施されて5年。この期間に起きた教育の変化は、私たちに「未来を生き抜く力」とは何かを問いかけています。グローバル化、情報化、そして予測不能な変化の時代において、求められるのは、与えられた問題を解くだけの力ではなく、自ら課題を発見し、解決策を創造し、多様な人々と協働しながら社会をより良くしていく力です。
中学受験、高校受験、そして大学受験が、単なる選抜の場ではなく、生徒がこれからの社会で活躍するための基礎力を培う場へと変容しつつあることを認識するべきです。教育は、過去の知識を伝承するだけでなく、未来を創造する力を育むものであるという視点に立ち、私たち一人ひとりが学びのあり方を見つめ直す時期に来ていると言えるでしょう。この5年間の変化は、日本の教育が大きな転換期を迎えていることを明確に示しています。