2025.06.26
近年、多くの保護者から「小学校の算数が難しくなっている」という声が聞かれます。
文部科学省が学習指導要領を改訂するたびに、算数の内容が高度化していると感じる方も少なくないでしょう。その実態は一体どうなのでしょうか?
本当に算数の難易度は上がっているのか、それとも別の要因があるのか、今回は少し深掘りしてみます。
「難易度UP」の実感の背景にあるもの
保護者が算数の難易度上昇を感じる背景には、いくつかの要因が考えられます。
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ゆとり教育からの脱却と学習内容の充実:
かつての「ゆとり教育」時代と比較すると、現在の学習指導要領では学習内容がより体系的かつ豊富になっています。
例えば、小学校低学年からの「割合」や「速さ」といった概念導入、図形における論理的思考力の育成など、
以前は中学で扱っていた内容の一部が小学校に降りてきています。
これは、国際的な学力水準に対応するため、基礎学力の定着と応用力の育成を重視する方向へと転換した結果と言えます。 -
ICT教育の導入と学習方法の変化:
GIGAスクール構想により、多くの子どもたちが一人一台のタブレット端末を持つようになりました。
これに伴い、算数においてもデジタル教材やオンラインツールを活用した学習が増えています。
しかし、これらの新しい学習方法に保護者自身が馴染みがなく、戸惑いを感じることで、学習内容そのものが難しくなったと感じるケースもあります。 -
思考力・表現力の重視:
現在の算数教育では、単に計算ができるだけでなく、
なぜそうなるのか、どのように考えたのかといった「思考力」や、自分の考えを説明する「表現力」がこれまで以上に求められています。
例えば、
単に答えを出すだけでなく、そのプロセスを図や言葉で説明する問題が増えています。これにより、従来の「解法を覚える」学習スタイルに慣れている保護者にとっては、求められる能力が変わったと感じられ、難しく感じる要因となっている可能性があります。 -
保護者自身の「算数離れ」:
保護者自身が算数から離れて久しい場合、現在の小学校の算数に触れることで、かつて学んだ内容とは異なるアプローチや言葉遣いに戸惑いを感じることもあります
特に、集合論的な考え方や、より抽象的な概念の導入に対して、慣れないために難しく感じるケースも少なくありません。
実態としての「難易度」はどうか?
では、客観的に見て、小学校算数の難易度は本当に上がっているのでしょうか。
文部科学省は、学習指導要領の改訂にあたり、子どもたちの発達段階を考慮し、無理のない範囲で段階的に学習内容を深めることを意図しています。
確かに、以前は中学で扱っていた内容が小学校に降りてきている側面はありますし、内容を見れば、「こんなのあったかなぁ・・・」と思える内容に出くわすことでしょう。
でもこれらは、実は大義名分として、子どもたちの負担を増やすためではなく、より早期に基礎的な概念を定着させ、将来の学習にスムーズに「繋げる」
ということがあるのです。
ここで補足が必要ですね。
「繋げる」の箇所を大きく強調したのは、本ブログでも何度か伝えてきている「小中接続」「中高接続」「高大接続」の存在です。
★小中接続、中高接続、高大接続とは
小中接続、中高接続、高大接続とは、文部科学省が言うところの「教育段階間の円滑な接続」ということです。例えば、中高一貫教育というのがありますが、これも教育段階間の円滑な接続に即したものです。
それぞれの段階における教育内容や学習方法の連携を指していて、これらの接続をスムーズにすることで、生徒・学生はそれぞれの段階でより効果的に学習を進め、次のステージへ進めるようにする考え方です。
このような背景と、かつて取られてきた詰め込み型教育であるとか、ゆとり教育などの様々な反省要素を、今全部回収して、教育改革が進められているのです。
またまた、大義名分ですが、
むしろ、現在の算数教育は、単なる知識の詰め込みではなく、「なぜそうなるのか」「どのように活用できるのか」といった本質的な理解を促す方向へとシフトしているんですよ、ということを思い切りアピールしているということなのです。
具体物を使った操作活動や、実生活と結びついた問題解決を通して、子どもたちが算数の面白さや有用性を実感できるように工夫されています。
しかし、この「思考力・表現力」を重視する教育は、画一的な正解を求める従来の教育とは異なり、子どもたちの多様な考え方やアプローチを尊重するものです。
そのため、教える側も、そして学ぶ側も、より深い理解と柔軟な思考が求められるようになった、という見方もできます。
保護者様と子どもの「ギャップ」
保護者様が感じる「難易度UP」は、感覚として全くもって正しいです。
但し上記で何となく伝わったと思うのですが、必ずしも内容そのものの絶対的な難化だけではないようですね。
またかつての算数とは違うよね・・・という、いわゆる「昔習った算数観」と現在の算数教育とのギャップに起因する部分が大きいと言えるでしょう。
これ言うと、「何よ!そんなに時代が昔だとは思ってないわ!」って怒られそうですが、
でもここ数年の変わりようは、スマホの進化ほどじゃないにしても、
「ちっとこれやべ~」ぐらいの進化はしております。
例えば、かつては「計算の速さ」が重視された時代もありました。
はい、
そろばん塾がかなり大流行りした時代もありますし、暗算も小数計算の暗算ができましたよ。確かに・・・。
でも・・・・
現在は「思考の深さ」や「問題解決能力」がより重要視されています。
この価値観の変化が、保護者様からすると「以前よりも難しくなった」と感じさせる一因となっているのかもしれません。
また、小学校の先生方も、限られた時間の中で多様な子どもたちに質の高い算数教育を提供するために、日々努力されています。しかし、個々の子どもたちの理解度や進度に合わせたきめ細やかな指導には限界があるのも事実です。
カリキュラムが相当タイトな中で、小学4年生ぐらいから、「ん?うちの子、算数がかなり苦手かも」と思い始める保護者様も多くなります。
小学5年生とか6年生になると、本当に真面目にこなしていないと、算数がわからなくなってしまう(早くも!)事態が全国で起こっているのです。
これは・・・少々由々しき事態です。
4年でわからなくなってきた算数が、5年になったら自然にわかるようになったというのは、まずないです。
自然に・・・というのは、ちょっと皮膚をけがをしたけれど放っておいたら傷がふさがって、さらに放っておいたら傷跡もわからなくなった・・・・
というのが自然にと言えるものであって、
勉強が自然にわかるようになるというようなエスパーチックなことは起こりません。
やっぱりきちんと筋道立てて教えてあげないと!ですね。
では、どうすれば良いのか?
このような状況において、保護者はどのように子どもたちの算数学習をサポートしていけば良いのでしょうか。
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算数教育の現状を理解する: まずは、現在の学習指導要領がどのような意図で作成され、どのような力が求められているのかを理解することが大切です。文部科学省のウェブサイトや、各教育委員会の資料などを参照するのも良いでしょう。
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子どもの学習状況を把握する: 子どもがどのような内容でつまずいているのか、何に興味を持っているのかを具体的に把握することが重要です。日々の宿題やテストだけでなく、子どもとの会話を通して、学習内容への理解度や思考のプロセスに目を向けてみましょう。
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「教える」よりも「一緒に考える」姿勢: 保護者が直接、子どもに答えを教えるよりも、「どうしてそうなると思う?」「他にどんな方法があるかな?」といった問いかけを通して、子ども自身に考えさせる習慣をつけることが大切です。間違いを恐れず、自由に発想できる環境を整えましょう。
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家庭学習のサポートと環境づくり: 学校の授業だけでは理解が難しいと感じる場合、家庭でのサポートは不可欠です。しかし、無理に勉強を押し付けるのではなく、算数に親しむための教材やアプリを活用したり、日常生活の中で算数的な視点を取り入れた会話をしたりするなど、楽しく学べる環境を整えることが効果的です。
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必要に応じた外部サポートの活用: もし、家庭でのサポートだけでは限界を感じる場合や、子どもが特定の単元でつまずいている場合には、専門の学習塾や個別指導の活用も有効な選択肢です。
例えば、ここ城南コベッツ東船橋教室では、一人ひとりの学習状況や理解度に合わせて、オーダーメイドの個別指導を提供しています。
現在の小学校算数で求められる「思考力」や「表現力」を育むための指導に力を入れており、単に問題を解くだけでなく、なぜそうなるのか、どのように考えたのかを子ども自身が説明できるような学習をサポートしています。
経験豊富な講師陣が、お子様の「わからない」を「わかった!」に「できない」を「できた!」「できる!」に変えるお手伝いをいたします。
保護者の方々が感じている算数の難易度UPというご不安も、城南コベッツ東船橋教室にご相談いただければ、適切なアドバイスとサポートで解消へと導くことができるでしょう。
まとめ
全国の保護者が感じている小学校算数難易度UPは、学習指導要領の改訂による学習内容の充実、思考力・表現力重視への転換、そして保護者自身の「算数観」の変化が複合的に作用した結果と言えるでしょう。決して、子どもたちの能力が劣っているわけでも、算数が理不尽に難しくなったわけでもありません。
大切なのは、この変化を正しく理解し、子どもたちが新しい算数教育の中で着実に力をつけられるよう、適切なサポートをしていくことです。そして、必要であれば、個別指導塾のような専門機関の力を借りることも、子どもたちの学習を円滑に進める上で有効な手段となります。未来を担う子どもたちが、算数を通して論理的な思考力や問題解決能力を身につけ、自信を持って学び続けられるよう、私たち大人が温かく見守り、支えていくことが何よりも重要です。